パイロットが聞いている「ATIS(航空情報放送業務)」の情報とは?

管制塔 旦那観察日記4月

パイロットが上空でどんな事を無線でやりとりしているのか気になりませんか?

そもそも、航空無線はパイロットにとって重要ですが、ATIS(Automatic Terminal Information Service)と呼ばれる無線情報放送が航空無線の一つとしてあります。

飛行機マニアさん達はこの情報に興味津々ですよね!

「ATIS」、エイティスやアティスと言うそうですが、Automatic Terminal Information Serviceの略です。

日本語では「飛行場情報放送業務」と言いますが、パイロットの間では「ATIS」と言っていて日本語で言う人はいないそうです。

一言で言うと、ATISは現在のアプローチタイプや空港周辺の気象情報を無線で自動的に一方送信するシステムの事だです。

空港毎に専用の周波数があって誰でも聞くことができますが、全国どこの空港でもATISがある訳ではなく、航空機の多い空港にあります。

この情報は通常は毎時0分に更新されますが、航空機の多い空港では毎時30分にも更新されるそうです。

また、アプローチタイプが変更された時やパイロットから乱気流に関するレポートがあった時、気象状況が規程の値を超えた時など定時以外にも随時更新されるそうです。

情報が改訂された場合は、A(アルファ)からZ(ズールー)までのアルファベットを順に使って識別されます。

例えば8時の情報がinfomation Aだとすれば次の9時の更新ではInfomation Bとなります。
Zの次はまたAに戻ります。

パイロットは出発であればPushback時、到着であれば進入管制区の管制官にコンタクトした時に「~With Infomation B」と自分がどの情報を持っているのかを通報するそうです。

例えば、
「Tokyo Ground (コールサイン), Spot##, request pushback, Infomation B
「Tokyo Approac (コールサイン) leaving FL240 descending to FL220, Infomation B

放送内容は全て英語です。
録音によるものと、合成音声(録音)されたものがあるそうです。

羽田空港のATISの例ですが、
Tokyo International Airport Information P, 0730.
ILS Zulu Runway 34 Left approach and ILS Zulu Runway 34 Right approach.
Landing runway 34 Left and 34 Right
Departure Runway 05 and 34 Right.
Departure frequency 126.0 from Runway 05, 120.8 from Runway 34 Right. Simultaneous parallel ILS approaches to Runway 34 Left and Right are in progress.
Wind 030 degrees 15 knots.Visibility 50 kilometers. sky clear.
Temperature 10, dewpoint 2. QNH 29.95 inches.
Advise you have information Papa.

東京国際空港、インフォメーションP(パパ)、時刻7時30分(UTC)
ILS Z RWY 34LとILS Z RWY 34Rアプローチを実施中
着陸滑走路は34Lと34R
出発滑走路は05と34R
デパーチャー周波数は滑走路05からは126.0MHz、滑走路34Rからは120.8HMz
滑走路34Lと34Rへの同時並行ILS進入を実施中
風030度方向より15ノット、視程50キロメートル、快晴
気温摂氏10度、露点温度2度、QNH29.95インチ
インフォメーションPを受信した旨を報告すること

これが永遠に繰り返されています。
自動でずっと流れているので例えば風だけ知りたいとしてもそこだけ選んで聞く事はできません。
早送りも巻き戻しもできないそうです。

旦那が航大の頃、1回で全て聞き取れなくて何周も聞く事となり、教官に「天気を取るのが遅い」と怒られたそうです。

地上では比較的集中して落ち着いて聞けますが、上空でも天気は取る必要があります。
これからアプローチする場合には天気は重要です。
なので、上空で風向風速を聞き逃したら放送が一周してまた風を言ってくれる箇所まで待たないといけません。

飛んでいたら管制官とのATCもあるのでワークロードが高くなります。
しかし、飛行機はどんどん前に進むので後手後手になってしまうそうです。

旦那も何度も経験した事があるそうですが、聞きたい情報のところでちょうどATCが入って音声が聞き取れず、放送をもう一周待って聞く事になるそうです(笑)

無線電話は複数個あって、一つは必ずATCで、残りの無線電話でATISを聞いていたそうです。

ちなみにエアラインになるとATISをVoiceでは聞かないそうです。
データリンクと言って、テキストで受信することが可能なので上記の情報がテキスト(文字)で得られるので国内でも海外でもATISを音声で聞いたことは無いそうです。
これをプリンターで印刷して紙で出して見ているそうです。

ワンタッチでATISを取れて聞き間違いもないのでもう元には戻れないそうです(笑)

なるほど〜って感じですね。

タイトルとURLをコピーしました