何故、旦那はパイロットになったと思いますか?
この質問は初めてお会いした方に必ずされます。
その理由は、大学生の時にたまたま航空大学校募集のポスターを見て「パイロットになるのも良いな」と思ったそうです。
高校から頑張っても・・・とか、大学から頑張っても・・・とか良く話を聞きますが、全然遅くないです。
パイロットになりたい人は諦めずにチャレンジして下さい!
今までにもパイロットになる方法は説明してきましたが、より詳しく、簡単にまとめてみました。
パイロットの旦那監修です!
Table of Contents
方法1:航空大学校に進学
旦那が言うには、パイロットになれる最もコスパが良い方法は「普通に大学に入学し、航空大学校に入学すること」だそうです。
日本唯一の国立のパイロット養成機関です。
ただ、1000人を超える受験者から合格者は108人と10倍を超える狭き門だそうです。
学費
航空大学校の授業料は年々上がっていて現在は約500万円です。
加えて生活費などは実費です。
一般的な国立大学の授業料は年間53万5800円で、4年間で214万3200円です。
親元を離れて一人暮らしをするとすると4年間で家賃や生活費で合計500万円くらい掛かるのではないでしょうか。
航空大学校は全寮制なので家賃は別で払う必要がありません。
そう考えると500万円は高くはないと思います。
全員寮生活
航空大学校は入学から卒業まで全員寮生活です。
寮は学校の敷地内にあります。
航空大学校に入る前まで一人暮らしをして自由に暮らしていたのに、「寮生活か」と思う人も多いそうです。
最近は女性のパイロットも増えてきたので、女子寮があります。
ひとりひとり個室ではなく、先輩と後輩の組み合わせの相部屋です。
(女性は1人しかいない場合はひとり部屋になります。)
仙台分校や帯広分校の時は同期と同じ部屋になります。
何故、全寮制かというと、同期で生活を共にして助け合うことで、知識や技術など含めトータル的に訓練効率を上げる為です。
また、パイロットはCRM能力が求められているので、共同生活を行うことでコミュニケーション能力が高められより、良い人間関係が構築がされることを期待されています。
受験資格
高卒では受験できません。
なので、どこかの大学に入学する必要があります。
旦那は2年間通った後、退学して、航空大学校に入学しました。
4年間通った後、入学される方もいらっしゃいます。
航空大学校の受験資格はホームページの募集要項で確認できます。
以下にリンクを貼っておきます。
航空大学校の身体検査の脳波検査で不合格になった人は再び受験できないそうです。
受験には年齢制限がありますが、大学を出て一度就職した後、航空大学校に入学されている方もいらっしゃいます。
なので、パイロットになりたいと言う夢を持っている方は、学生の頃から早めに進路を考えておいた方が良いでしょう。
2年間の学びの流れ
① 約5ケ月間、宮崎本校で学科課程(座学)があります。
② 次に、約6ケ月間、帯広分校で座学と実機による操縦訓練、計器飛行地上訓練があります。
③ 再び宮崎本校に戻り、約6ケ月間、座学と実機による操縦訓練、計器飛行地上訓練があります。
④ 更に、約7ケ月間、仙台分校で座学と実機(G58バロン)による操縦訓練、計器飛行地上訓練があります。
実際には各課程の間に待機期間があって、現在は卒業まで2年以上かかるそうです。
航空大学校で取得できる資格
・航空無線通信士←入学する前に取得している人が多い
・事業用操縦士(陸上単発・多発)
・計器飛行証明
航空英語能力証明の資格は就職してから取得するそうです。
方法2:自社養成パイロット訓練生として就職
一番良いのはJALやANAの自社養成パイロットだと思います。
自社養成パイロットというのはJALやANAなどの航空会社に「パイロット訓練生として就職する」ということです。
なので普通に大学に行って、就職活動をするということです。
お給料を貰いながらゼロからパイロットのライセンスを取得します。
パイロット自社養成の倍率
パイロット自社養成の倍率は高倍率で100倍を超えます。
パイロットを目指している人は、大体JALもANAと並行して航空大学校も受けているそうです。
JALは落ちたのにANAに受かったとか、その逆もあるそうです。
完全に就職活動のひとつの選択肢として、軽い気持ちで自社養成パイロットの採用にエントリーして合格されている方もいらっしゃるそうです。
JALもANAも割合的は自社養成の方が5〜6割弱で航空大学校卒が4割くらいです。
旦那は航空大学校に進学したので自社養成パイロットの採用試験は1度も受けたことがありません。
入社後、パイロット(副操縦士)になるまでの流れ
① 航空会社の新入社員の1人として研修を受けた後、地上勤務を経験します。そこで、航空業界の基礎を学びます。約1〜2年間です。配置先は様々で、運航管理やカウンター業務、旅客係員、スケジューラーなどの仕事を行いながらお客様の手続や接遇を学びます。
② その後訓練への投入が決まったら約3ケ月、航空機の専門知識や操縦技術、英語などを学びます。
③ 約2年間、海外(もしくは国内)の訓練施設で飛行訓練を行い事業用操縦士(陸上・多発)、計器飛行証明を取得します。ここで航空大学校卒業と同じライセンスを取得したことになります。
(会社によっては事業用操縦士・計器飛行証明ではなく准定期運送用操縦士(MPL)というライセンスが取れます。)
④ 日本で大型ジェット機のフライトシミュレーター訓練を行い、特定の航空機を操縦するための型式限定を取得します。(約6ヵ月)
⑤実際にお客様が乗っている実機に乗って路線訓練を行い、副操縦士昇格の社内審査に合格します。(約6ヵ月)
なので、自社養成パイロットとして入社した場合、副操縦士になるまで約4~5年間は掛かるという事になります。
留意点
大手だと入社して4~5年くらいかかると言われています。また、選考の難易度が非常に高いので、もし訓練に失敗してライセンスが取得できなかった場合は退職するか、地上職として働く事になります。
自社養成パイロットは何か雰囲気が違う(笑)
これは私の偏見かもしれませんが、自社養成のパイロットはエリートだと思っています。
賢くて、紳士の方が多いです。
ちなみに、航空大学校卒のパイロットは体育会系でイケイケです(笑)
旦那が初めてご一緒するキャプテンとFLIGHTする時、「出身は自社養成か航空大学校か?」って話に大体なるそうです。
旦那が言うには、キャプテンの雰囲気で大体自社養成か航空大学校か分かるらしいです(笑)
私も何となく分かります。
自社養成を行っている航空会社
自社養成の募集要項は、各航空会社のホームページに書いてあります。
私が調べたところによると、以下の7社です。
JAL

ANA

ANA WINGS

スカイマーク

J−AIR
Peach

ジェットスター
方法3:私大の飛行機操縦学科に進学
飛行機操縦学科のある私立大学で事業用操縦士(陸上・多発)、計器飛行証明を取って航空会社に就職する方法です。
航空大学校を卒業した人と同じ免許を取ることができます。
飛行機操縦学科がある大学
日本航空大学、東海大学、法政大学、桜美林大学、崇城大学、千葉化学大学、第一工科大学などがあります。
国立大学にはありません。
その他、航空専門学校もあります。
学費
学費は操縦学科以外の人と同じ通常の学費に加えて、飛行機の訓練代が掛かります。
全てを足すと授業料は2,000万〜2,500万円を超えるそうです。
海外で訓練する大学は今は円安でもっと高いらしいです。
3,000万くらい?だとか。
航空大学校は約500万円なので、それに比べると非常に高いですね。
また、生活費も必要なので更にお金が掛かります。
中には、航空大学校と同じで寮がある大学もあります。
航空大学校と私立大学の違い
航空大学校は2年間ですが、私立大学は4年間です。
何が違うのでしょうか?
航空大学校は飛行機のライセンスを取ることに特化した専門学校ですが、私立大学は大学教育という側面がある事の違いです。
航空大学校と訓練の場所やカリキュラム体系が違い、海外で訓練する大学もあれば国内で訓練する大学もあります。
実機訓練がどこで行われているかはそれぞれの大学のホームページに書いてあります。
私立大学で取得できる資格
・事業用操縦士(陸上単発・多発)
・計器飛行証明
どちらも最終的に取れるライセンスは同じで、航空無線通信士、事業用操縦士(陸上・多発)、計器飛行証明を取得します。
4年間の学びの流れ
海外で訓練をする私立大学のカリキュラムの場合を説明します。
あくまで参考にして下さい。
大学によって訓練場所やカリキュラムは異なります。
①1年次には、パイロットになる為に必要な基本知識、航空機のメカニズム、運航に関する知識を学びます。
また一般の大学と同じように教養、基礎学力、英語力、数学・物理の単位を取ります。
そして、航空無線通信士の資格を取得します。
②2年次は、前半に技能証明の国家試験の学科試験合格およびTOEIC650点以上を取得し、後半に海外に渡航し飛行訓練が開始します。
事業用操縦士と計器飛行証明の学科試験を受け、自家用操縦士免許の資格を取得します。
③3年次は、より専門的な知識や技術を学び、同時に海外でのライセンス取得を目指して訓練します。
海外の事業用操縦士と計器飛行証明の資格を取得します。
④4年次は、海外で取得したライセンスを日本のライセンス(JCABライセンス)に書き換えるために訓練を行います。
JCABライセンスとは、日本の国土交通省航空局(JCAB)が認定しているライセンスです。
また、航空英語能力証明の資格を取得します。
大学教育なので、卒業論文もあります。
そして、就職活動を行います。
一般的なJCABライセンス取得の流れ
① JCABが定める基準を満たす身体検査(航空身体検査証明)に合格する必要があります。
② フライトスクールなどで学科と実技の訓練を行い飛行経験を積みます。
③ 航空機や航空法規に関する学科試験に合格する必要があります。
④ 実際の航空機の操縦に関する実地試験に合格する必要があります。
方法4:フライトスクールに通って自分でライセンスを取得
免許は国家試験なので年齢、FLIGHT時間、身体検査などの要件を満たしていれば誰でも受験できます。
フライトスクールなどで自費でFLIGHT時間、飛行経験を重ねて、試験を受けて免許を取る事ができます。
日本でも海外でもスクールはありますが海外だと為替の影響があります。
国内のフライトスクールは自家用操縦士免許を取得する場合は約700万円〜1,000万円程度ですが、事業用操縦士の免許の場合は1,500万円〜2,200万円くらいです。
他の職種で働きながら自分のペースで時間を積み重ねてライセンスを取る方が多いです。
ライセンスを取った後はライセンサーとしてエアラインの中途採用の募集に応募する事となります。
その募集も結構倍率は高く、数百人受けて合格者は数名という狭き門だと言います。
色々な人に聞いたところ、航空大学校や私大のきっちり決められた教育カリキュラムを受けていないので、就職活動では航空大学校卒・私大卒のライセンサーに比べて不利になるという情報もあります。
メリット・デメリット
①航空大学校
メリット:約500万円でベーシックな免許が全て取れる。日本で訓練ができる。ほぼどこかのエアラインに就職できる。
デメリット:年齢制限(上限)がある。
②自社養成パイロット
メリット:社会人として給料をもらって仕事として訓練ができる。
デメリット:超高倍率。入社後、副操縦士になるまでが長い。(平均5年程)
③私大の操縦科
メリット:新卒で免許を持って入社できるので、自社養成よりも早く(若く)パイロットになれる。
デメリット:学費が高額。海外で訓練を行う学校もある。
④自費で免許取得
メリット:自分のペースで訓練を進められる。
デメリット:お金と時間が掛かる。後ろ盾がないので就職に不利かもしれない。
必ず卒業できる訳ではない
最後に、航空大学校や私立大学、専門学校、訓練事業会社に進学したら必ずパイロットになる為のライセンスが取得できるとは限りません。
在学中に何度も試験があります。
その際に、パイロットとしての見込みがなければフェールします。
例えば航空大学校だと、「フェール=退学(クビ)」です。
私の知り合いにも航空大学校在学中にフェールした人が何人かいます。
その人たちは、諦めて違う仕事に就いた人もいれば、海外でライセンスを取得した人もいます。
必ず誰かはフェールすると思っていた方が良いです。
一番大切なのは適性です。
パニックになる人、協調性がない人、嘘や誤魔化しをする人はフェールします。
それは安全に関わるからです。
安全とは何かを考えると、自分はどのような人間であるべきかが分かると思います。
まとめ
今回は「パイロットになるにはどうしたらいいか」を簡単にまとめました。パイロットの旦那監修です。情報は常に更新しますので、ご自身で最新の情報をお確かめ下さい。
日本でエアラインパイロットになる為には、私立大学や航空専門学校、訓練事業会社や航空大学校などで必要な資格を取得します。そして、その後、航空会社にパイロット訓練生として入社します。または、一般の大学等を卒業して、パイロット自社養成として航空会社に入社し、その後、資格を取得してパイロットになる方法があります。
私は私立大学を卒業された方も自分でライセンスを取得された方も知っていますが、皆さんエアラインに就職され日々楽しくFLIGHTされています。
どの方法にしてもメリット・デメリットはあると思いますが、パイロットを目指している方がいらっしゃいましたら、是非、このblogを参考にされて下さい!
国土交通省のHPに養成機関や取得できる資格が書かれた一覧もあるので、こちらも参考にして下さい。