【客室乗務員の訓練のお話し】出発前に確認している内容とは?

飛行機からの写真 航空業界の裏話

「パイロット旦那観察日記」は、旦那の日常やFLIGHTの事を毎日発信しています。
パイロットの話に興味を持って下さっている方も多いんですが、なんと、私がCAになった話や訓練の話が意外と人気なんです( ◠‿◠ )
なので、1年振りに続きを発信します。

これまでに、私が看護師になり客室乗務員になるまでの話や、座学編①では「入社〜訓練内容について」、座学編②では「飛行機はどうやって飛ぶのか」、座学編③では「客室乗務員が学ぶ航空気象について」お話ししました。

また、座学編④⑤では「客室乗務員の身だしなみ」や「挨拶・笑顔・美しい言葉」についてお話ししています。

今回は「客室乗務員が出発前に確認していること」を紹介します。

その前に、飛行機が出発してから着陸するまでの流れを説明します。
すごくマニアックですが、知ると面白いですよ(^o^)

飛行機が離陸して着陸するまで

客室乗務員は飛行機が離陸して着陸するまでの事を知らないとお話になりません!笑

空港を離陸してから目的地に着陸するまで、飛行機は常に地上の管制機関の指示に従って飛行しています。

これがIFR(計器飛行方式)と言われ、管制官の指示に常時従うことで例え雲に入って前が見えない状態であっても飛行機相互間及び地上の障害物・山との安全な距離を確保されます。

では、実際どのように離発着するのか説明します。

出発前

飛行に先立って、運航管理者(ディスパッチャー)は天候や航行援助施設などの運用状況の情報を集めてFLIGHT PLANを作成します。

パイロットと運航管理者は、FLIGHT PLANに従って飛行が安全に実施できるかどうかを話し合い、飛行経路や高度、搭載燃料量などを決定します。

そして、決定されたFLIGHT PLANを管制機関に通報します。「この便はこうやって飛んでいきます」という計画書のようなものです。

FLIGHT PLANには、便名、飛行機の型式、出発・到着空港、代替飛行場、予定時刻、飛行高度・経路などが書かれています。

出発

パイロットによる機体点検(外部点検)があります。

出発する飛行機はすでに整備士により入念に整備されていますが、さらにパイロットが最終的な点検を行います。 エンジンや機体に損傷がないかを確認しています。

乗客が搭乗して出発の準備が完了すると、パイロットは管制官に無線で目的地空港までの管制承認(当初のFLIGHT PLAN通りに飛行してよいという承認)を要求します。
大前提として管制官から「FLIGHT PLANに従って出発していいよ」という許可が下りなければ出発することはできません。

たまに、台風の雲や、大きい積乱雲が空港周辺に迫っているときにその空港が使用できなくなることがあります。その場合は着陸できない飛行機で大混雑します。なので新しくそこの空港に出発しようとする飛行機に対して「ちょっと混んでるから出発待ってね」というように承認がすぐにもらえないことがあります。

管制機関はFLIGHT PLANを検討して、同じ航空路を飛ぶ航空機同士が衝突しないよう管制間隔を設定し、管制塔を通じて管制承認をパイロットに与えます。
パイロットはこの管制承認に従って飛行することになります。

パイロットはエンジンを始動し、管制塔の許可を得て滑走路から離陸します。
離陸後、飛行機は管制塔のレーダー管制官に管制を引き継がれて航空路に向かいます。

今日本の空域のほとんどがレーダーの空域です。

航空路

航空路は障害物に衝突しないために、地上の無線標識を結んだ空の路です。
現在ではGPSが主流なので必ずしも無線施設を結んだ路ではなく無線施設のない海上にも航空路を設定できます。

航空路には最低経路高度が設定されています。

それ以上の高度で飛行することにより山や障害物との間隔、無線の受信が確保されます。

飛行機には自動的に高度を維持できる自動操縦装置が装備されています。決められた巡航高度で飛行しますが、他の飛行機との安全な感覚を保つために、飛行機は一定の空域を管理している航空交通管制部(ACC)の承認に従って、決められた巡航高度を維持しながら飛行します。
航空路では航空路監視レーダーによる管制を受けます。

着陸

目的地の空港に近づくとパイロットはACC(Area Control Center)の許可を得て、低高度への降下を開始します。さらに空港に近づくと、空港の管制塔のターミナル管制所によって最終進入経路へとレーダーで誘導されます

各空港には、IFRで到着する飛行機のために計器進入方式が設定されており、飛行機は進入許可を得て滑走路へと近づきます。滑走路の末端から出ている着陸誘導の電波信号(ILS)に乗って着陸します。

<このように、飛行機は目的地へ向け飛んで行きます>

管制塔の見学にも行きましたが、空の安全はパイロットだけでなく管制塔とのやり取りで守られているんです。管制塔では目視で飛行機を捉え、離発着の許可や飛行時の走行経路の指示を出したり、パイロットと無線でやり取りしたり、レーダーでモニターしているんです。

「フライトレーダー24」というアプリで飛行機がどこを飛んでいるか誰でも見れます。
結構、リアルで面白いですよ。同じ経路を連なって飛んでいるのが分かります。

客室乗務員が「FLIGHTの前」に確認していること

ショーアップ(S/U)

飛行機の出発する時間に合わせて、客室乗務員は(パイロットも同じ)出社しています。
だいたいどこの航空会社も出発の1時間前です。

出社するまでも、結構、バタバタになって大変なんですよね・・・。
起きて、お化粧して、髪をアップするのに時間が掛かるんです。

上手くさっとアップ出来た時は良いんですが、たまに上手く出来ない時があるんですよ。
その時は、とっても焦ります。

私は車で出勤していましたが、バスや電車で出勤している人達は私より家を出る時間が早かったです。

ショーアップ時間には、制服に着替えて会社のカウンターDeskに立っていなければなりません。

FLIGHT前に確認している内容

FLIGHT前に、以下の事を確認しています。

・乗務便名、FLIGHTパターン
・同乗客室乗務員の氏名
・飛行機の型式、国籍番号(JA⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎)
・SOPT(駐機場)
・SHIP(飛行機)のSQ(故障)など
・特別旅客の確認
・サービス実施内容
・身だしなみチェック

など確認しています。
また、サービス内容の確認やCAの目標確認もありました。

飛行機のJA⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎とかなんで必要なの?って思いますよね。
たまに、飛行機が変わったり、スポットが変わったりするので、そこまで確認しておかないと違う飛行機に乗ってしまう事があるからです。

そして、コマ取り(EMERGENCY CHECK BOARD)を行います。
これは、非常用装備品の場所や取り扱い、緊急脱出時の措置、任務分担の確認を行います。

運航ブリーフィングの内容

客室乗務員は、FLIGHT前にパイロットとブリーフィングを行います。

・飛行機の型式、国籍番号
・飛行機が駐機しているSPOT
・FLIGHTの所要時間
・代替空港
・到着時間
・高度・速度
・飛行経路
・航路上の天候
・到着地の天候
・搭載物
・お客の数、お客様のインフォメーション(特別旅客)
・保安業務に関する確認(緊急事態、非常用装備品、航空犯罪防止対策など)
・ベルトサイン点灯時の対応
・サービス実施時期

など確認しています。
最終的には、地上の係員からお客様の数や特別なお客様の情報などをもらい出発します。

運航ブリーフィング時の気象について

客室乗務員はパイロットからFLIGHT PLANと出発地、目的地及び代替空港の天候を教えてもらいます。天候については、風向きや風速、現在の天気、気温、航路上の天候などです。

出発地、目的地の天候が良好であっても、航路上の天候が悪い時もあります。
特に雷雨(THUNDERSTORM)を伴う積乱雲の中は激しい乱気流が生じているので、航空機はこの雲を避けて飛行しなければなりません。

また、積乱雲以外にも、飛行に影響を及ぼす乱気流(TURBULENCE)があります。
乱気流には、晴天乱気流や山岳波に伴う乱気流、航跡乱気流、WIND SHEARなどがあります。
もちろん、予期せぬ乱気流もあります。

乱気流(TURBULENCE)の強度段階によって、ベルトサインの消灯やサービス内容を決めますが、SMOOTH(乱れなし)LIGHT(弱)MODERATE(並)HEAVY/SEVERE(強)と表現されています。
LIGHTであれば、注意しながらサービスを行います。

他には、「MINIMUM」や「ON TOP」、 「BETWEEN」、 「IN CLOUD」などの用語も知っておかなければなりません。
MINIMUMとは、航空機が安全に離発着するためにそれぞれの空港に設定されている最低気象条件、通常雲底高度(CEILING)と視程(RVR)の最小値の事をいい、ON TOPは雲の上、BETWEENは雲の間、IN CLOUDは雲の中という意味があります。

経験のあるCAは、窓から自分の目で雲を見ながらサービスしている人もいました。基本的に雲の中は揺れるからです。

航空気象通報式(METAR)の情報

国際的な基準によって航空気象観測が行われており、これらの観測値を通知するには一定の方式が用いられています。この国際的に定められている基本となる航空実況通報式のことを「METAR CODE」と言います。
数字とアルファベット文字で表示されています。

どのようなことが記載されているのかというと、空港地名、風向き、風速、現在の天気、雲量・雲高・雲形、気温などです。

全て数字とアルバベットなので「???」って感じです。

例えば、
TTは東京
36015は360°の風、15ktの風

Gがついていれば、GUST(瞬間最大風速)30ktなど。
他にも、略語がたくさんありますが、客室乗務員は、「東京350°から15kt、晴れ、気温25℃」くらい読めれば合格って感じです。

出発までの準備が大切

客室乗務員は飛行機のことや、飛行経路、各空港の特徴や滑走路、天気などを訓練で学びますが、最初から全てが分かるわけではなく、いろんな便を経験しながら、またパイロットから情報をもらいながら学んでいます。

例えば、「今日は荷物が多いから重たい」とか、「燃料をたくさん積んでる」とかパイロットからの情報があります。最初は「?」って感じでしたが、重たいとどうなる?って事なんです。
重いとそれだけ上昇に時間が掛かるし、飛行時間にも影響します。そして、着陸にも影響があります。

また、「上空の風が強い」とか、「向かい風の影響を受けます」とか良くある話です。

上空で揺れるのであれば、ベルトサインが消えるタイミングはいつなのか?サービスをどうするか?トイレに行くお客様がいたらいつご案内するか?など考えなければなりません。
飛行時間が長くなれば、到着時間に遅れが生じます。

乗り継ぎのお客様やお急ぎのお客様など様々なお客様がいらっしゃいますので、そのようなお客様に説明をしなければなりません。

到着地の天候が悪ければ条件付き運航となりますが、出発空港に引き返すか、または他の空港に向かうことがあります。その為、客室乗務員はお天気のことも知っておかなければなりません。

何もないノーマルのFLIGHTであっても、いつ何が起こるか分からないので、毎便毎便、緊急時の対応については頭の中でイメージトレーニングしていました。

まとめ

今回は、客室乗務員が出発前に確認している事を紹介しました。
座学でも航空気象は学びますが、FLIGHTを重ねていく中で気象がどのような影響を及ぼすのか学んでいきました。風が強い中での着陸、大雨による視界不良などよく経験しました。

「頑張って降りて!!!」と祈っていました。
そんな中での着陸はパイロットも大変です。でも、思いのほかシレッとしているんですよね。
私が「パイロットって凄い」って思う瞬間でした。
客室乗務員は出発までにいろんな情報を得て乗務しています。単に飛行機に乗って機内でサービスしているだけじゃないんですよ。安全確認や役割分担、サービス内容についてもブリーフィングして乗務しています。
ここまでが飛行機に乗る前の段階です。

また、飛行機に乗ってから出発までの準備、PRE FLIGHT CHECKがなかなか大変です。

次回は、PRE FLIGHT CHECKについてお話しします。

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