「パイロット旦那観察日記」は、旦那の日常やFLIGHTの事を毎日発信しています。
パイロットの話に興味を持って下さっている方も多いんですが、なんと、私がCAになった話や訓練の話が意外と人気なんです( ◠‿◠ )
なので、1年振りに続きを発信します。
これまでに、私が看護師になり客室乗務員になるまでの話や、座学編①では「入社〜訓練内容について」、座学編②では「飛行機はどうやって飛ぶのか」、座学編③では「客室乗務員が学ぶ航空気象について」お話ししました。
また、座学編④⑤では「客室乗務員の身だしなみ」や「挨拶・笑顔・美しい言葉」についてお話ししています。
今回は「客室乗務員が出発前に確認していること」を紹介します。
Table of Contents
客室乗務員が「FLIGHTの前」に確認していること
ショーアップ(S/U)
飛行機の出発する時間に合わせて、客室乗務員は(パイロットも同じ)出社しています。
だいたいどこの航空会社も出発の1時間前です。
出社するまでも、結構、バタバタになって大変なんですよね・・・。
起きて、お化粧して、髪をアップするのに時間が掛かるんです。
上手くさっとアップ出来た時は良いんですが、たまに上手く出来ない時があるんですよ。
その時は、とっても焦ります。
私は車で出勤していましたが、バスや電車で出勤している人達は私より家を出る時間が早かったです。
ショーアップ時間には、制服に着替えて会社のカウンターDeskに立っていなければなりません。
FLIGHT前に確認している内容
FLIGHT前に、以下の事を確認しています。
・同乗客室乗務員の氏名
・飛行機の型式、国籍番号(JA⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎)
・SOPT(駐機場)
・SHIP(飛行機)のSQ(故障)など
・特別旅客の確認
・サービス実施内容
・身だしなみチェック
など確認しています。
また、サービス内容の確認やCAの目標確認もありました。
飛行機のJA⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎とかなんで必要なの?って思いますよね。
たまに、飛行機が変わったり、スポットが変わったりするので、そこまで確認しておかないと違う飛行機に乗ってしまう事があるからです。
そして、コマ取り(EMERGENCY CHECK BOARD)を行います。
これは、非常用装備品の場所や取り扱い、緊急脱出時の措置、任務分担の確認を行います。
運航ブリーフィングの内容
客室乗務員は、FLIGHT前にパイロットとブリーフィングを行います。
・飛行機が駐機しているSPOT
・FLIGHTの所要時間
・代替空港
・到着時間
・高度・速度
・飛行経路
・航路上の天候
・到着地の天候
・搭載物
・お客の数、お客様のインフォメーション(特別旅客)
・保安業務に関する確認(緊急事態、非常用装備品、航空犯罪防止対策など)
・ベルトサイン点灯時の対応
・サービス実施時期
など確認しています。
最終的には、地上の係員からお客様の数や特別なお客様の情報などをもらい出発します。
運航ブリーフィング時の気象について
客室乗務員はパイロットからFLIGHT PLANと出発地、目的地及び代替空港の天候を教えてもらいます。天候については、風向きや風速、現在の天気、気温、航路上の天候などです。
出発地、目的地の天候が良好であっても、航路上の天候が悪い時もあります。
特に雷雨(THUNDERSTORM)を伴う積乱雲の中は激しい乱気流が生じているので、航空機はこの雲を避けて飛行しなければなりません。
また、積乱雲以外にも、飛行に影響を及ぼす乱気流(TURBULENCE)があります。
乱気流には、晴天乱気流や山岳波に伴う乱気流、航跡乱気流、WIND SHEARなどがあります。
もちろん、予期せぬ乱気流もあります。
乱気流(TURBULENCE)の強度段階によって、ベルトサインの消灯やサービス内容を決めますが、SMOOTH(乱れなし)、 LIGHT(弱)、MODERATE(並)、HEAVY/SEVERE(強)と表現されています。
LIGHTであれば、注意しながらサービスを行います。
他には、「MINIMUM」や「ON TOP」、 「BETWEEN」、 「IN CLOUD」などの用語も知っておかなければなりません。
MINIMUMとは、航空機が安全に離発着するためにそれぞれの空港に設定されている最低気象条件、通常雲底高度(CEILING)と視程(RVR)の最小値の事をいい、ON TOPは雲の上、BETWEENは雲の間、IN CLOUDは雲の中という意味があります。
経験のあるCAは、窓から自分の目で雲を見ながらサービスしている人もいました。基本的に雲の中は揺れるからです。
航空気象通報式(METAR)の情報
国際的な基準によって航空気象観測が行われており、これらの観測値を通知するには一定の方式が用いられています。この国際的に定められている基本となる航空実況通報式のことを「METAR CODE」と言います。
数字とアルファベット文字で表示されています。
どのようなことが記載されているのかというと、空港地名、風向き、風速、現在の天気、雲量・雲高・雲形、気温などです。
全て数字とアルバベットなので「???」って感じです。
例えば、
TTは東京
36015は360°の風、15ktの風
Gがついていれば、GUST(瞬間最大風速)30ktなど。
他にも、略語がたくさんありますが、客室乗務員は、「東京350°から15kt、晴れ、気温25℃」くらい読めれば合格って感じです。
出発までの準備が大切
客室乗務員は飛行機のことや、飛行経路、各空港の特徴や滑走路、天気などを訓練で学びますが、最初から全てが分かるわけではなく、いろんな便を経験しながら、またパイロットから情報をもらいながら学んでいます。
例えば、「今日は荷物が多いから重たい」とか、「燃料をたくさん積んでる」とかパイロットからの情報があります。最初は「?」って感じでしたが、重たいとどうなる?って事なんです。
重いとそれだけ上昇に時間が掛かるし、飛行時間にも影響します。そして、着陸にも影響があります。
また、「上空の風が強い」とか、「向かい風の影響を受けます」とか良くある話です。
上空で揺れるのであれば、ベルトサインが消えるタイミングはいつなのか?サービスをどうするか?トイレに行くお客様がいたらいつご案内するか?など考えなければなりません。
飛行時間が長くなれば、到着時間に遅れが生じます。
乗り継ぎのお客様やお急ぎのお客様など様々なお客様がいらっしゃいますので、そのようなお客様に説明をしなければなりません。
到着地の天候が悪ければ条件付き運航となりますが、出発空港に引き返すか、または他の空港に向かうことがあります。その為、客室乗務員はお天気のことも知っておかなければなりません。
何もないノーマルのFLIGHTであっても、いつ何が起こるか分からないので、毎便毎便、緊急時の対応については頭の中でイメージトレーニングしていました。
まとめ
今回は、客室乗務員が出発前に確認している事を紹介しました。
座学でも航空気象は学びますが、FLIGHTを重ねていく中で気象がどのような影響を及ぼすのか学んでいきました。風が強い中での着陸、大雨による視界不良などよく経験しました。
「頑張って降りて!!!」と祈っていました。
そんな中での着陸はパイロットも大変です。でも、思いのほかシレッとしているんですよね。
私が「パイロットって凄い」って思う瞬間でした。
客室乗務員は出発までにいろんな情報を得て乗務しています。単に飛行機に乗って機内でサービスしているだけじゃないんですよ。安全確認や役割分担、サービス内容についてもブリーフィングして乗務しています。
ここまでが飛行機に乗る前の段階です。
また、飛行機に乗ってから出発までの準備、PRE FLIGHT CHECKがなかなか大変です。
次回は、PRE FLIGHT CHECKについてお話しします。