良く、「パイロットはどの飛行機にも乗れるんですか?」と聞かれる事がありますが、パイロットは飛行機の機種ごとにライセンスが必要なんです。
パイロットの免許は国家資格ですが、実際にどんな免許が必要なのか説明します。
旦那は航空大学校出身です。
航空大学校で取れる免許は「事業用操縦士の陸上多発の免許」と「計器飛行証明」だけだそうです。免許には陸上と水上があるようですが、航空大学校では陸上の免許だけです。
事業用操縦士という免許は車で言う2種免許のようなもので、パイロットとしてお金をもらっていく免許でベーシックな免許です。
その事業用操縦士の免許だけだとエアラインで副操縦士はできません。
まず、初めに取るのは陸上単発の事業用操縦士の免許です。
これだけだと陸上の単発機にしか乗れないそうです。
なので陸上単発の事業用操縦士の免許を「陸上の多発」に書き換えなければエンジンが2つ以上ある飛行機に乗る事はできません。
その訓練も航空大学校で行います。
陸上多発の事業用操縦士の免許を取っても雲の中に入る飛行やIFRはできないそうです。
雲で目の前が見えない時にも操縦するためにはさらに資格が必要です。
雲の中に入って、いわゆるIFRが行える免許は「計器飛行証明」です。
ここまでの資格を航空大学校で取得する事ができます。
そして、無事に陸上多発の事業用操縦士免許と計器飛行証明を取得し、どこかのエアラインに就職する事となります。
しかし、実はこれらの免許だけではまだエアラインのボーイングやらエアバスを操縦できません。
「型式免許」という免許が新たに必要です。
これが機種ごとの免許の事です。
ボーイング787の免許、エアバス350の免許などをエアラインに入って訓練する必要があります。
例えば、ボーイング787の免許を取ったらボーイング787だけで乗務する事ができます。
大手の航空会社では色々な機種がありますが、複数の機種の免許を持っていたとしても基本的には1つの機種でしか乗務しない事になっています。
操作が機種によって違う為、間違えないようにする為です。
このように、エアラインパイロットとして必須の事業用操縦士と計器飛行証明、これにプラスして型式の免許を取って初めてエアラインで副操縦士として乗務する事ができます。
機長として乗務するためには「定期運送用操縦士」という免許が必要で、それを取るには最低でも3000時間の飛行時間が必要だそうです。
また、国際線に行く為には「航空英語能力証明」という免許も必須です。
飛行機は航空無線を使うので「航空無線通信士」という免許も必要だそうですが、これは航空大学校入学前にほとんどの人が取っているそうです。
なので、パイロットとして飛行機を操縦するにははたくさんの免許を取らなければならないのです。
そして、一生同じ飛行機を操縦する訳ではないので、また機種が変われば「型式移行訓練」を行うのです。
誰もが憧れるパイロットのお仕事ですが、結構、大変な職業ですよね!