【客室乗務員の訓練のお話】座学編②「飛行機はどうやって飛ぶの?」 

飛行機からの写真 航空業界の裏話

看護師から客室乗務員となった私。試験に合格して「憧れのCA」なんて調子に乗っていましたが、
入社してから訓練の日々・・・。
毎日、必死でした。
覚えることがたくさんあって頭がパンク状態(>_<)
座学編①では、「入社〜訓練内容について」お話をしましたが、座学編②では、「飛行機はどうやって飛ぶのか」お話ししたいと思います。

飛行機が好きな人にとってはとっても面白い内容だと思います。
知っておくと、飛行機の見方が変わるかもしれませんよ!

航空機の構造について

こんなに大きくて、重い固まりがどうして飛ぶのだろう?って思いませんか?
航空業界で働きたい人は知っておいた方がいいと思います。

航空機の構造を知りながら、なぜ飛行機は飛ぶのか考えてみましょう。

航空機の構造はこうなっています。
それぞれに役割があるんです。

飛行機のパーツの名前

CABIN(客室)は胴体の床の上半分、CARGOROOM(貨物室)は床の下にあります。

エンジンは機体の左側からNO.1、NO.2エンジンと呼びます。

飛行機はなぜ飛ぶのか

離陸する飛行機

航空機が空中に前進する時、機体の各部に空気の流れ(向かい風)を受けます。

この流れを主翼に受けた時、重い機体を持ち上げ得る力が生じます。この上向きの力と前進するスピードで飛行機は飛んでいます。この上向きの力を揚力といいます。気流は前縁で主翼の上面と下面に分かれて流れ、後縁でふたたび合流します。翼は上面が大きくカーブした形になっており、前縁で上下に分かれた空気のうち、上面を通る空気の方が下面を通る空気よりも長い距離を進むことになります。そこで、上面の空気の方が早く流れることになり、ベルヌーイの定理によって上面の気圧が低くなるので翼を吸い上げる力が発生します。
ちょっと難しいですよね(>_<)

しかし、この揚力だけでは安定に飛行できません。航空機が安定した状態で飛ぶには揚力を含めて4つの力が機体の正しい位置に働いて、同じ速度で同じ高度を飛ぶためには「重力と揚力」「推力と抗力」がそれぞれつりあっていなければなりません。
飛行機に働く力

動翼の働きについて

飛行機が目的地に着陸する為には、航空機は上昇や旋回、降下をしなければなりません。
これを自由自在に安定した状態で行う為に必要なのが動翼です。
動翼には、昇降舵(ELEVATOR)方向舵(RUDDER)補助翼(AILERON)の3つがあります。

飛行機のパーツの名前

昇降舵(ELEVATOR:エレベーター)
水平尾翼の後ろについていて、機体を上向き、下向きにすることができます。昇降舵(ELEVATOR)を上げると上昇し、下げると降下します。

方向舵(RUDDER:ラダー)
垂直尾翼の後ろについていて、機首を右向きにしたり、左向きにしたりします。方向舵(RUDDER)を左に曲げると左に向き、右に曲げると右に向きます。

補助翼(AILERON:エルロン)
主翼の後方についていて、旋回の際に方向舵と一緒に操作し、機体に右左の傾きを与えます。右の補助翼(AILERON)が下がると、左の右の補助翼(AILERON)は上がります。

また、高揚力装置(FLAP)は離陸や着陸の時に主翼後方、中心部を延ばし主翼面積を一時的に広げることによって揚力を高める働きをします。
揚力の大きさは翼の大きさ、形によって左右されます。
離陸着陸時には、低い速度で高い揚力が求められるので、この高揚力装置(FLAP)により翼形を変え高い揚力を得ているのです。

翼上の座席になった時に補助翼(AILERON)高揚力装置(FLAP)を見てみると面白いと思いますよ。離陸時、旋回時、降下時、着陸時にどうなっているのか見てみて下さい。

フラップとエルロン

エンジンの働きについて

エンジンの主な働きは推力を作るものですが、その他、電力の供給、与圧や空調の働き、油圧の供給に働いています。

上空は気圧も気温も低いので、機内を一定の気圧・温度に保つために機内に空気を送り込んでいます。

10,000m付近の上空では酸素が少なく、気圧も低くなるので、操縦室や客室は地上に近い一定の気圧に保ち、快適に過ごせるように圧を加えています。これを与圧といいます。

法規上でも機内は常に8,000ft(約2,400m)以下の状態の気圧になるよう定められていて、地上気圧が1気圧ですが、上空の客室内は0.8気圧になるように設定されています。それでも、上空は気圧が低いので、ペットボトルがぺったんこになったり、足がむくんだりしますよね。

航空機の高度が高くなると、機外の気圧との差が大きくなります。
長距離路線かなり身体に負担がかかります。

油圧(ハイドロ)とは、FLAPやGEARのUP・DOWN等で大きな力が必要とされるところに使われる動力を供給する働きをしています。
油圧は大切なシステムの1つです。この不具合が発生したら緊急事態発生!!!です。
結構、あるんですよ。私も実際、緊急着陸したことがあります。何事もなく無事に着陸できたので良かったのですが・・・(>_<)
何かあっていたら、もうここにはいないですけどね。
エンジントラブルが1番、安全性に問題となります。客室で乗務しているCAも異常に気付けないといけないので、飛行機の構造やエンジンのことも知っておかなければならないんです。

飛行機が地上にいる時は安心です。地上で駐機している時はエンジンは切ります。
そのエンジンに代わって電力の供給や空調を行うための小型のエンジンがあります。それをAPU(AUXILIARY POWER UNIT)補助動力装置といいます。
初便だと、この装置を付けてもなかなか機内が寒かったり暑かったりするんです。

自分が乗っても不快に感じるので、ご迷惑をお掛けしております<(_ _)>

なので、次の便の出発準備をする時はAPUで空調を行っているので、真夏は機内がものすごく暑くなり汗だくになって準備しています。
しかし、お客様が搭乗される際には何事もなかったかのように笑顔で「いらっしゃいませ」とお迎えしています。
すごいでしょ(^_^)

飛行機の脚について

離陸前、着陸後に欠かせないのが脚(GEAR)です。
車輪は金属製の輪にゴムタイヤをつけたもので、前方車輪(NOSE GEAR)操向装置が付いており方向が変えられます。
主脚(MAIN GEAR)は制動装置がついていて、ブレーキの役割も持っています。
油圧の不具合が発生した場合、GEARが降りたとしてもロックがかかるか分からないのですが、着陸の衝撃でロックがかかるようなシステムになっているそうです。
飛行機はすごく安全に作られているんです。飛行機を作った人は凄いです!!!

胴体について

航空機に使われている素材は、アルミ合金やグラスファイバー、強化プラスティックです。
これらを特徴により部分別に使われています。必要な条件としては、軽い・丈夫・さびない・熱に強い・加工性に富んでいるなどがあり、FAIL SAFE構造(2重に安全に働く)になっていて、1つの故障や傷が致命傷にならないような構造になっているそうです。
たまに、飛行機の部品の1つが落ちていた?とかニュースで見ますよね(>_<)
それでも安全に飛行できるように作られています。

航行灯・衝突防止灯について

このLIGHTは知っている人も多いと思いますが、飛行機が地上や上空で衝突しないために機体の外にLIGHTが付いています。

夜間や天候により視界が悪い時は存在をアピールする大切なLIGHTです。

航行灯(NAVIGATION LIGHT)は主翼の両端に付いていて、飛行している機体の進行方向や翼の幅を知らせます。左翼が、右翼がです。

飛行機のライト

衝突防止灯(ANTI-COLLISION LIGHT)は視界が悪い中で機体の存在を示すもので、胴体の上面と下面に付いていて、赤色で点滅します。
飛行機が出発する準備がでいたら、このLIGHTが点滅するので今から出発する飛行機なんだなってことが分かります。

飛行機はどのようにして飛行しているのか

航空機の安全を守っているのが、航空管制官です。

誘導路の指示や滑走路の許可や航路上の航空機に無線で指示を出したり、進入する飛行機に間隔をコントロールしたりしています。これを、ATC(AIR TRAFFIC CONTROL)といいます。

管制官からの指示により、飛行機の間隔を保ったり、飛行機がぶつからないようにになっています。飛行機は自由に飛んでいるのではなく、必ず決められたルートを飛行しています。

お天気によって、飛ぶルートが変わったりもしますが、だいたい同じルートで飛んでいるんです。
地上にある航空保安無線施設が空中へ発車する電波を機上の計器でキャッチし、目的地に向かって飛行していきます。この無線施設のひとつをVOR(ブイオーアール)と呼び、VORで結ばれた航空機がたどる道を航空路(AIR WAY)と言います。

現在の飛行機はGPSが主流なのでVORを結んだAIR ROUTEだけではなく、海上などのVORがないところも自由に飛べるみたいです。

飛行方式は2つあります。
IFR(計器飛行方式)VFR(有視界飛行方式)です。

ほとんどのエアラインの飛行方式はIFRであり、目視及び航空機の計器の両方で見ながら航空管制官の指示に従って飛行します。

VFRは、パイロットの目視で飛行するので、雲に入ってはならず十分な視程が常に保たれているような好天が絶対条件になってきます。

飛行機が離陸するまで

出発前に機体のまわりをパイロットが歩いているのを見ませんか?
あれは、飛行機の外部点検をしているのです。
もちろん、航空整備士さんが十分、機体に問題がないか確認してくれています。
各飛行機に病院でいうとカルテ(航空日誌という)みたいなものがあり、それを整備さんとパイロットが共有しています。
飛行機が出発するまでに、貨物を搭載する人、ミールやドリンクを搭載する人、お掃除の人、給油の人などいろんな人たちが関わっています。寒い日、真夏の暑い日、台風の日などは本当に大変そうです。

ところで、飛行機って、バックできないって知っていましたか?
駐機場から誘導路までは牽引車(TOWING CAR)でバックしています。

 

 

そして、SPOTを出発した後、エンジンスタートします。
エンジンが2つありますが、NO.1エンジン(右)からエンジンスタートします。右と左両方、同時にエンジンスタートする飛行機もあるみたいです。

飛行機が離陸する際の速度は時速300㎞くらいだそうです。
着陸は250㎞くらいです。

離陸の際に「V1」「VR」「V2」って聞いた事ありますか?
ドラマなどでも耳にするかもしれませんが、「V1」は離陸決心速度というもので、V1を超えてしまうと何らかのトラブルが生じても滑走路内で停止できないので、離陸を継続しなければならないのです。「VR」は、機首引き上げ速度をいい、この速度に達すると、パイロットは機首を引き上げます。「V2」は、離陸した飛行機が安全に上昇を継続できる速度なんです。
こんなに早いスピードの中で、何かあった時は瞬時に判断しなければならないので、パイロットは凄いですよね。

ついでに、着陸した後、SPOTに入りますが、黄色いものを2つ持っている人(マーシャラー)が飛行機が停止するまで誘導してくれます。マーシャーラーに合わせて駐機するので、ものすごくタイミングが合う人と合わない人がいるらしいです。

 

まとめ

飛行機のこと、なんとなく分かりましたか?
飛行機って本当にすごいですよね。
座学で、飛行機の名称やその働きなど学んでいると、人間の解剖学と同じだな???なんて思っていました(>_<)
しかし、訓練中は飛行機に興味があっても覚えるのは本当に大変でした。看護学校の勉強よりも必死にしたなって感じです。

次は、お天気についてお話したいと思います。
飛行機はお天気にとても影響されます。
よくパイロットの人が、フライトは自然との闘いだと話されていました。

日々、違うお天気の中での仕事なので、客室乗務員にとっても気象情報は大切です。
客室乗務員が学ぶ気象とはどんな内容かお話したいと思います。
次のblogをお楽しみに!

タイトルとURLをコピーしました