【客室乗務員の訓練のお話】座学編③「客室乗務員(CA)が学ぶ航空気象について」

飛行機からの写真 航空業界の裏話

看護師から客室乗務員として入社した私・・・。毎日、必死に訓練を受けました。
飛行機に乗れるまで、まだまだ先が長いです。

座学編①では、「入社〜訓練内容について」、座学編②では、「飛行機はどうやって飛ぶのか」をお話しました。

今回、座学編③では、「客室乗務員が学ぶ航空気象について」お話します。

客室乗務員になって、天気図を良く見るようになりました。
気象と言っても、生活に関わる気象ではなく、航空機が安全に運航する上で必要な気象です。
パイロットはもっと詳しく学びますが、これまでとはちょっと違ったお天気の見方ができるようになりました。
飛行機はお天気にかなり影響されので、どれだけ大切かお話したいと思います。

飛行機はお天気に左右される

気象は航空機の運航にかなり影響を受けます。
みなさんも、お天気の影響で便がキャンセルになったり、引き返したり、他の空港に行った事などありませんか?
また、お天気次第ではかなり飛行機が揺れた経験はありませんか?
飛行機の大きさにもよりますが、小さい飛行機だと風が強いとかなり激しく揺れます。
私は乗り物があまり得意ではないので、飛行機に酔ったり、何度も恐怖を感じたことがあります(^_^;)

パイロットは出発地、航空路、そして到着地の天気をフライトの前に確認しています。規定があるので、その規定に則って決めていますが、たまに「ダメなパイロット」とか「かなり揺れた」とか「着陸がど~んと激しかった」などなど、厳しいお言葉を頂きます。

それは、パイロットの腕ではなく、お天気もかなり影響受けています。(たまに腕もあるとは思いますが・・・)

出発できるかどうかはパイロットの判断だけでなく、運行管理者(DISPATCHER)と決めています。

状況が厳しい場合は会社とも協議しているんです。

大気と飛行の関係

地球は空気の層(大気)で覆われています。この空気は地球表面に接している所では温度は高く、圧力も高いのですが、上へ昇るに従い温度・圧力ともに減少します。このように高度の上昇と共に温度が低下する範囲を対流圏と呼び、そのすぐ上の空気が希薄で一定の低温域を成層圏といいます。
航空機は天気の変化のない成層圏内を飛行した方が快適性、経済性、安全性の面で適しています。
天気図の見方を知っておくと、目的地の天候や変化が分かります。

天気図の見方

高気圧と低気圧は、輪状になっている等圧線で周りよりも気圧が高くなっているところを高気圧、低くなっているところを低気圧といいます。一般的に、高気圧は好天で、低気圧は悪天です。

前線には温暖前線、寒冷前線、停滞前線があります。

温暖前線は、天気の変化が遅く、降水域が広範囲で多量の雨や雪になります。

寒冷前線は、天気の変化が速く、降水域が狭いです。雨または雪が激しく降り、雷を伴うこともあります。

停滞前線は、その場所に停滞するので雨が長時間降ります。梅雨時期がこれですね。

運航BRIEFINGと気象

客室乗務員は、乗務する前にパイロットからFLIGHT PLANと出発地及び目的地、代替空港の天候を教えてもらいます。風、現在の天気、気温、航路上の天候などです。

各空港では、国際的な基準によって航空気象観測が行われており、これらの測定値を通知するために一定の方式が用いられています。

風向き、風速、視程、現在の天気、雲の量、雲の高さ、雲の形、気温などです。

これらの条件から、飛行高度や使用する滑走路が決まります。

航路上の天候は、雷電を伴う積乱雲があれば激しい乱気流が生じるので、このような雲は避けて飛行します。その他、ジェット気流の周辺に発生する水平方向及び鉛直方向に大きく変化している乱気流や山脈などに気流がぶつかり発生する乱気流も激しく揺れます。
乱気流には、SMOOTH/LIGHT/MODERATE/SEVEREと強度階級があり、MODERATE以上では機内サービスができません。

また、雲の上を飛行するのか、雲と雲の間を飛行するのか、雲の中を飛行するのかも必要な情報になります。
各空港の風向きは、飛行機は離発着時にその時の風向きによって使用する滑走路が変わるので、向かい風になるように、風向き近い方の滑走路を使用しているんです。

お天気は、出発する前に確認しますが、刻々と変化していくものです。
客室乗務員は、変わりゆくお天気をモニターしながら機内サービスをしたり、ベルト着用サインが点灯していなくても身の安全を確保しながら乗務しています。予測できない揺れもあるんです。

風向きで使用する滑走路が決まる

客室乗務員が使用する滑走路を知っておくことはかなり大切です。風向きで使用する滑走路が決まるので、出発時にRWY34から降りると思っていても、RWY16から降りる事もあります。

使用するRWYは、吹いてくる風の方向と反対側に記されており、離発着ともに風向きの値に近い側を使用しています。
なので、離発着ともに向かい風の方向を利用します。

その時は、外の景色を見て判断していました。

使用する滑走路を知っておく必要性としては、風向き次第ではぐるっとまわり込んで着陸するので着陸までに時間がかかることが予想されますし、着陸した後のターミナルまでの移動時間も計算できます。

また、飛行機が着陸に失敗して火災が発生した際にどちらに逃げるかの判断にもなります。
風上に逃げるのが原則です。

これ、緊急脱出訓練の時に訓練させられます。
たまに、意地悪な先輩やパイロットは質問されます。

まとめ

今回は、客室乗務員が学んでいる気象についてお話しました。
パイロットだけではなく、客室乗務員もある程度は気象のお勉強もしています。気象は知ってて損はないと思います。

今でも、空を見上げて雲の多さや低さ、視程など見ています。
そして、風向きや湿度も。

これからお天気が悪くなるのかな?とか、風が強くなるのかな?など自分で見て感じて予報しています。

客室乗務員は、結構、いろんな事を勉強しているんです。

次は、いよいよ憧れの客室乗務員のサービスについて紹介したいと思います!

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