パイロットは年に1度、CAと合同で行うエマージェンシー訓練があります。
私がCAをやっていた時から業界では「エマ訓」と言っていますが、今もそう言っているのでしょうか?
CAにとってはかなり必死な訓練です。
パイロットは基本的に何もしなくていいので構えて行く必要はありません。
毎年どのようなシナリオで訓練を行うのかはCAは分かっていますが、パイロットはほとんどシナリオを知らない状態で訓練に臨みます。
帰って来た旦那は「今年も楽しいエマ訓だった」と話していました。
呑気ですよね〜
パイロットは何をするのかと言うと、お客様役です。
去年はパイロット役をしたそうですが、今年はお客様役だったので必死に頑張っているCAさんを見守るだけです。
どんなシナリオでも必ず最後はスライドを出しても緊急脱出の訓練を行いますが、スライドを滑る訓練を行う前に必ず滑る姿勢の復習があります。
そしてストレッチも(笑)
座った状態で、足を肩幅くらいに開いて、手は前に突き出して、やや前傾姿勢で滑るのが正しい姿勢ですが、旦那は身体が硬くて前に屈めなかったそうです。
やや前傾姿勢をとるのはスピードが付きすぎないようにする為ですが、旦那は信じられないくらいのスピードが出たそうです(笑)
やばくないですか(笑)
プールのウォータースライダーと同じで、後ろに傾いて仰向けに近い状態で滑ってしまうとスピードが出過ぎてしまって着地の際に怪我をする恐れがあります。
そして、あるキャプテンがとても名演技をされていたそうです。
それを見ていて旦那はとても面白かったそうですが、「この飛行機大丈夫かよーーー!」と大声を出したり、「ぎゃーー!死にたくないー!」と騒ぎなら自分で飛行機のドアを開けに行こうとされたりしていたそうです(笑)
実際に飛行機事故が起こった場合はそういうことも想定されると思いますが、横で見ているとフザケ倒して楽しんでいるようにしか見えなかったそうです。
確かにリアルにお客様役を演出をして下さるパイロットの方もいらっしゃいますが、大人しく意地悪もせずお利口なお客様役をして下さるパイロットの方もいらっしゃいます。
CA目線で言うと、後者の方が嬉しいです。
しかし、実際はパニックにならない訳がないので、リアルにパニックになっている人を演出して下さるパイロットの方の方が訓練にはなると思いますね。
私もエマ訓は正直、嫌でした。
色んなケースが考えられるので、臨機応変に判断しなければなりません。
日頃から訓練しているとは言え、年に1回ですからね・・・。
何かあった時に本当に出来るのかは不安です。
訓練の1ケ月くらい前から「セリフ」を覚えたり、流れを復習したりしていました。
どのようなセリフがあるのかと言うと、お客様へのアナウンスはもちろんですが、お客様に援助をお願いするセリフや非常口を担当して頂くお客様へ具体的にどのような援助をして頂くかを説明するセリフです。
緊急脱出する場合、着水の想定やオフラン、オーバーラン、エンジン火災など様々な想定で訓練が行われますが、緊急事態が発生した場合、機長や先任(チーフパーサー)の指示のもとで脱出を行います。
しかし、自分が担当しているドアは自分で判断しなければなりません。
非常口のドアの窓から外を確認して、火災が発生している場合は開けずに他の非常口へ案内します。脱出した後、どこに逃げてどこに集まるかも指示します。
もう、1人名演技です(笑)
「大丈夫、落ち着いて!」「非常口はこちら!」「荷物は持たないで!」などのセリフを口に出しながら練習していましたね。
全員脱出したら「残っているお客様はいらっしゃいませんか」と後方から確認して、最後は機長へ報告するまでのセリフがあります。
思い出しただけでなんかドキドキして疲れました(笑)
まあ、それがCAのお仕事ですからね!
これからも空の安全を守ってくださいね〜( ^ω^ )